熱中症②
順天堂大学COIプロジェクト室 博士研究員
沢田秀司
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に端を発し、新たな生活様式への対応が必要となっています。STAY HOMEを心掛けた生活で心身の健康を守っていくためのポイントについて、シリーズでお伝えしていきます。第4回の今回は、再び熱中症を取り上げます。
2020年8月11日、群馬県伊勢崎市で13時過ぎに今年全国初の40℃超えを記録し(※1)、その後群馬県伊勢崎市と桐生市で40.5℃、そして埼玉県鳩山町で40.2℃と、全国3地点で40℃超の気温が観測されました(※2)。梅雨の間には肌寒さすら感じる日もありましたが、梅雨明けして以降、全国的に厳しい暑さに見舞われています。
こうした影響により、熱中症で病院に救急搬送される方も増えてきています。8月3日から9日までの1週間における日本全国の熱中症救急搬送者数は6664人であり、前週(3426人)の約2倍に急増しています(※3,4)。また、この週の搬送者の内、高齢者(満65歳以上の者)が57.6%を占めています(※4)。予てより「この夏は、COVID-19と熱中症、双方への対策の両立が求められる、誰もが経験したことのない夏である」という認識を強く持つことの重要性をお伝えしてまいりましたが、いよいよその渦中にある現状において、命を守るための行動が求められていると言えます。
COVID-19の流行により、身体的距離の確保、マスクの着用、手指衛生の徹底、「3密(密集、密接、密閉)」の回避など、感染予防の基本を守った「新しい生活様式」が求められています。こうした「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントとして、以下の5つが挙げられています(※5)。
- 暑さを避けましょう
- 適宜マスクをはずしましょう
- こまめに水分補給しましょう
- 日頃から健康管理をしましょう
- 暑さに備えた体作りをしましょう
今回は、3つ目のポイントである水分補給について、解説いたします。なお、5つ目のポイントに関しては、「STAY HOMEと心身の健康②」にて解説していますので、そちらもご参照ください。
一般的に、日常生活で飲料として摂取すべき水分量は、1日あたり1.2リットルが目安とされています(※6)。一方、運動中の発汗量は、1時間に2リットルに及ぶこともあるとされています(※7)。従って、運動・スポーツを積極的になさったり、暑さ厳しい屋外で過ごす時間が長かったりされる場合には、当然発汗量も増えてしまうため、上記の目安よりも多くの飲水量が必要となります。こうした必要量がきちんと補えるよう、こまめに水分補給を行うことが望まれており、特に運動や外出の前後、入浴の前後、就寝前や起床直後の水分補給が大切です。
皆様は、上述のポイントを意識して水分補給を行っていらっしゃるでしょうか。STAY HOMEを心掛ける生活を継続する中では、ご自身にとっての当たり前の行動が、命を守ることに資するものであるべきです。水分や食事を十分にとりながら、安全な場所で積極的に身体を動かし、将来の自分が健康でいるために必要な生活習慣を心掛けてください。
※1:https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2020/08/11/9339.html(閲覧日:2020年8月13日)
※2:https://tenki.jp/forecaster/r_anzai/2020/08/11/9335.html(閲覧日:2020年8月13日)
※3:https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/heatstroke_sokuhouti_20200727.pdf(閲覧日:2020年8月13日)
※4:https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/heatstroke_sokuhouti_20200803.pdf(閲覧日:2020年8月13日)
※5:環境省・厚生労働省「令和2年度の熱中症予防行動」
※6:環境省「熱中症環境保健マニュアル(2018年3月改訂版)」
※7:日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(2019年5月改訂版)」